2007年7月20日金曜日

磯部 修三


知らない人は、この人、誰?って人ですが、その世界を知る人にとっては、偉大な人なんです。そう左の写真で胴上げされている人なんです。全国の高校野球で、優勝経験のある監督は、毎年輩出されるだろうけど、県立高校&私立高校と違う高校を2度全国優勝に導いた人は、写真の磯部監督以外に、取手二高&常総学院の木内監督しか僕はしりません。だから、偉大な人なんです。
7月17日(火)のブログに、今夏の浜商県大会初戦敗退のテーマにて書きました。その際、とあるお兄ちゃんから紹介された一冊の本をアマゾンで予約したら、すぐに届いたので、すぐに読みきりまして、正直、無呼吸状態で読み上げまして、すぐにブログする気になりました。授業の予習もあるので、久しぶりの睡眠時間2時間で授業に臨む事となりますが、Happy Momentなので、自分を許します。僕の高校野球感が、ぎっしり、この一冊に込められていて、小学4年生と5年生で、2年連続、「コロンブスの新大陸発見を読んで」っと夏休みの読書感想文に書くほど(前年版のコピー)、読書嫌いな僕にとって、久々の感動書籍でした。小学5年生で、コロンブスはないよな。他生徒は、走れメロスとか読んでる訳だし・・・。
磯部監督のすごい処
浜松商業(県立)と常葉菊川高校(私立)を共に、4年で甲子園させ、7年目には全国優勝をさせている。運も実力の内とは、僕みたいな平民が、低空飛行の末、豪語するコメントだか、彼は、勝つための法則を心得ている。浜商時代は、負けない野球(バント野球)。菊川時代は、勝つ野球(フルスイング野球)。それぞれ異なる生徒、高校の特徴を生かし、スタイルを変え、勝利に導く。ただ、運だけではなく、頭を使った野球を徹底させる点では、どちらの時代も共通している。木内マジックは、潜在能力の高い選手を率い、イケイケ野球で、取手二校&常総学院でも同じスタイルである事を考えると、組織のリーダーとしての兵法は、磯部氏の方が上と考える。僕は、池田高校の蔦監督も好きだし、元PLの中村監督も好きだが、磯部氏の組織実践論は、他を寄せ付けない。
結果よりもプロセスを重んじる。2アウト3塁で、レフトオーバータイムリーの選手を評価しない。その場面で、強い内野ゴロを打てる選手を起用する。自分の役割認識と相手の一番嫌がる処を攻める(この場合、3塁ランナーを背負う相手チームのピリピリ感、内野ゴロの難しい処理、一塁への送球処理と相手の困難が伴う敢えて、そこを突いていく。)。その場の失敗よりも次に繋がる失敗を優先させる。その場のラッキーな功績(レフトオーバー)を運と評価し、次に繋がらないと見下す。内野ゴロのイレギュラーバンドエラーをどう解釈するか?結果主義者は、まさか、イレギュラーするとは・・・と不運を理由にするかな?プロセス主義者は、守備の合間にグランドを均らしておかなかった事、もう一歩早く前に突進できなかった自分のプロセスを責める。僕は、好きだなぁ~。
実は、両校を優勝させる間に、磐田南高校(県下指折りの進学校)にて野球部監督を行っている。浜商時代の鬼の磯部イメージで、磐田南高校では、16人部員が、監督就任決定と同時に、4名退部しているそうである。計12名でのスタート。そこでの組織改革は、「なんで、みんな丸坊主なの?校則?高野連がそんな事、言ってたっけ?」っと生徒に投げかけ、スポーツ狩りを生徒の判断で導入している。浜商時代には、相当な鬼監督だよ。この状況に合わせた変わりよう、リーダーとして尊敬できないか?そのチームを初年度にて、春の西部大会で優勝し、夏の地方大会では、シード権獲得まで生徒を成長させている。磐田南高校時代は、僕の奥さんも、その進学校にセーラー服で通っていたので、磯部さんのこと知ってますが、(絶対、可愛かったんだろうなぁ~)、幸いな事に、磯部監督に社会の授業を習ってないのだけは救い。磯部監督のお子さんと同期にあたるけども、その時には、磯部監督は、県の教育委員会に転勤になっていて磐田南からも、野球からも離れていた時期でした。(本当に、彼は、実働、野球人生何年なんだ?)もしも、教え子だった場合、僕は、一生、奥さんにジェラシー抱えて、結婚生活を過ごす事になる。自分を不幸な人間と決め、人間失格太宰治路線化したであろう。進学校は、高校野球に対して、面白くて、磯部監督のツテで東洋大姫路との練習試合を組んだが、校長が、「そんな長距離は駄目」っとドタキャンしたらしい。そんな状況下で、シード権獲得は、神懸り。彼曰く、進学校は、公式さえ教えれば、応用問題は、自分達で解いていった。っと語っている。 また、野球名門校は野球自体が大雑把で、実は、進学校との試合が最も苦労するっとも述べている。
この本では、自分のことを書いているので、次のことは、書かれていないが、彼の試合展開の読み、ゲームの組立てセンス、勝負どころの勘は、神の領域。磐田南高校赴任前に野球部監督をしてない時期が、12年間あり、(おいおい、全国制覇2回していて、監督実働期間は?)、その時、TV朝日(静岡民放)で甲子園解説者をしていた時期がある。彼の解説以上のものを聞いたことがなく、試合前のアナウンサーが選手名を読み上げた直後に、今日のゲームでキーとなる選手を挙げ、その選手をどうマークするか?で勝敗が決まる。っと予言し、そのキーマンが試合の分岐点となる。そのキーマンは、主力選手ではなく、2番打者であったり、7番打者であったりするのよね。次スクイズありますよ?って、見事に当てる。初回の投球を見て、すぐに、ピッチャーの弱点(モーションが大きく、盗塁狙う。とか、初回にも係らず、5回までに100球投げさせればバテルだとか)を見破る。一番圧巻なのが、清水商業vs松山商業の甲子園初戦を解説し、清商に対し、「初球は、ストライク取りに行っては行けませんよ!」とアドバイスしてるんだけど、ストライク取りに行って打たれ、「スクイズするなら次の球ですね」ってアドバイス送ってるのに、次の次の球でスクイズに行って、外される。松山商業のデキの良さに、「決勝まで行けるチームですね」っと予言し、松山商業は、その年、決勝まで進み、天理に負けて準優勝。要するに、磐田南をシード高にさせる位だから、並以上の高校を率いれば、相手にとっては、普通に試合したら勝てない。作戦が読まれてるわけだから、勝てる訳がない。作戦どころか、心理まで読まれてるし・・・。
この本を読んで、涙したところ
①P34(抜粋)
浜商時代、すべての選手がレギュラーになれる訳ではない。その為、中学時代にセンスのある選手も競争の中で、挫折と屈辱を嫌というほど味わったに違いない。彼らが、挫折から立ち直らせたのは何だろうか?卒業後、彼らが口にするのは、辞めようと思ったのは、一回や二回ではなかった。だから、夜、寝る前に、母親に「俺、野球辞める」っと言って寝るんだけど、翌朝、母がいつもの様に弁当を作ってくれる姿を見ると、それでも「辞める」とは言えなかった。しばらくして、また、「俺、野球、本当に辞める」って言うと、今度は親父が出てきて、「父さんは、お前をプロ野球選手にしたいと思ってやらせている訳じゃない。意気地のないことを言うな」って言われ、グランドへ何故か向かってしまう。この親子関係も涙に値するが、磯部監督は、高校野球を教育として応援してくれた親達に感謝している。
②P81(抜粋)
甲子園開会式。朝3時に浜松を発ち、スタンドに詰めかけた父母が、大会行進曲のメロディーにのって行進する我が子を見つめ涙している。指導者にとって、良かったなぁ~っと思う瞬間だ。
③彼は、野球監督である前に、高校社会科教諭としての社会人としての恩師を何人か、この本で登場させている。その恩師に、幾度となく、救われ、応援され、助けられたっと述べている。また、教え子達の面倒もよく、指導者を目指す教え子達の恩師ともなっている。その例として、浜商優勝時のセカンドの森下キャプテン(160cm)を中部電力野球部に職を推薦し、廃部と共に、浜商コーチ(理科実験補助員)として採用している。日大三島高校監督へのポストを森下に薦め、後に、森下が日大三島監督を首になった際に、常葉菊川のコーチとして招いている。森下氏にしてみたら、人生の恩師だろうね。この森下氏こそ、僕と同じ中学校卒業でありまして、僕は、それだけで、自分自身に誇りを持っています。森下先輩こそ、日本の高校野球界で、ノックを打たせたら右に出る人はなく、キャッチャーフライを思いっきり打ってる人は、他に見たことありません。甲子園の試合前のノックは、いつも注意深く見詰めていますが、いまだ、現われません。磯部&森下コンビは、浜商時代に監督&キャプテンで全国制覇し、菊川時代には、総監督&監督として、2回目の全国制覇をしています。いいコンビです。
ドラマだなぁ~って思うところ
磯部監督は、常葉菊川の監督を後任の森下に譲る事を決意します。2006年の春です。本では、敢えて、対戦高校名を伏せているようでしたが、実は、磯部監督最後の公式戦相手は、2006年夏の静岡県予選で、浜松商業でした。その結果は、小雨振る中、3-4で常葉菊川は、初戦敗退しています。丁度、一年前の今頃でした。僕は、MBA合格通知貰ってましたが、TOEFL追加テストの為、勉強しなくてはならない絶体絶命の環境でしたが、浜商に勇気をもらいに浜松球場に一人で出かけ、観戦しています。菊川高校が負けた後、僕は、敢えて、球場出口で磯部監督の最後の姿(その後は、総監督へと退く)を見ようと待ち伏せしてました。泣き崩れる選手を森下コーチが慰め、磯部監督は、遠くから選手達を見ていました。その泣き崩れた選手達(2年生)が、2007年春の選抜で全国制覇する事となります。そして、今年の2007年夏の県大会初戦で、その時勝った浜松商業は、37年ぶりの初戦敗退をする訳です。僕、こういうの好きです。お陰で、浜商からパワーをもらった僕は、MBAへの追試TOEFLの最後の試験にて、いたちの握りッぺ並みのスコアー飛躍を遂げ、今、東京で生活していのです。こういう無理矢理な因果関係が好きだなぁ~。
PS:
本の中で、磯部氏は、次のような、僕にとってはショッキングなコメントをしています。「プロは結果、アマチュアはプロセスが大事だと思う。ことに高校野球では、チームつくり、組織つくりの段階で重要なのはプロセスであり、早急に結果を求めたら、個人も組織も死んでしまう。」
僕は、このブログで、以前にテーマとして、自分がプロセス重視思考であること、ブルーのユニホームを着るプロフェッショナルを目指している!っと宣言しており、この彼のコメントを、どのように解釈していいものか、しばらく、考えてみます。