2007年6月22日金曜日

雨の株主総会


今日、とある会社の株主総会へ株主として出席をする。僕の人生で初めての経験であり、そのワクワク感がたまらなかった。今、学生をしていて、時間的な余裕(クラスない場合)が作れる事、また、東京で生活している恩恵を最大限に活用できた機会だった。場所は、日比谷公会堂。2,000人くらいの株主で、席はFullだった。昨日のニュース(野村系ネット証券)では、女性の方が、男性よりも、平均2.7倍稼いでいるようだが、女性の出席者は、1%未満だった。
出席した会社の株式を当然、購入しているので、ブログには、XXX社とでもしてもいいのだが、敢えて、社名を具体的に出す事で、読者のイメージが膨らみ、僕の意見を共有できたらと思います。輸送用機器関連のM社(証券コード:7211)です。96年には、業界初のDI(直噴)エンジンを業界初として市場に導入し、2000年には、1回目のリコール隠し発覚により、当時の社長が辞任している。同時に、ダイムラークライスラーと資本提携開始。2003年、2回目のリコール隠し発覚により、信頼は地に落ち、市場から見捨てられ、ダイムラーも資本追加支援の中止を決定。企業の存在価値以前に、すべてから、必要なし!っと判断された会社である。
そんな会社の株式をなぜ、購入したかについてだが、まず、僕が、この株を購入しようと思った背景を簡単に纏めると、
1)自分の投資センスを計ってみたい 
 (購入時期は、3ヵ年最終計画の最終年であり、上半期時点で計画倒れ。赤字脱却できておらず)
2)企業の復活プロセスを身近に感じたい 
 (リストラ実行、財務改善、戦略転換等)
3)日本最大財閥の底力が、如何なものか、ウォッチしたい
4)株価が手の届く範囲。最悪、全損しても、他人に迷惑掛けないレベル

多少の配当、株価アップも期待したところもあるが、それは、5番目で、正直、あんまり求めていない。MBA候補として、そんなんじゃ、全然、レベル低いんだけどね。MBA戦士は、村上さんみたいな野心的な人が多いからね。さて、再生3ヵ年計画を終え、M社の業績は、どうなったか?
一応、国内外の業務改善をベースに、最終年下半期の円安傾向が、相当、後押しし、営業利益、経常利益、当期純利益すべてにおいて、黒字化達成。来年度も、黒字予想。しかし、それは、最低限の株主が求めていた期待値であって、黒字化の定着、業績の株価反映、信頼回復(顧客獲得)に向けての取り組みは、今後の課題として、残されたままってのが、現状かな。
最悪期からの脱出劇っとなると、Nissanの例が、よく取り上げられる。まず、流血を止め、リハビリをし、体調回復したら、攻めへと転じる。カルロスさんは、3年間で、体調回復まで達成したと評価するけど、M社の益子さんは、3年間でリハビリレベルかな。比較すると、ペースは、少し、遅いかな?そんなスピードの遅さ等は、今日の総会で、十分、激(罵倒)が、飛び交っていた。簡単に、僕の肌で感じた総会を下記に纏めます。
1)総会屋について
M社は、97年に総会屋への利益供与事件により、摘発を受けている。今朝も、日比谷公会堂に向かう途中、ヤクザとか、いるのかなぁ~なんて、思いながら会場に向かったんですが、いましたよ。総会開始を待っている時に、僕は、当然、前から3列目のGood Positionキープしてましたが、早速、受付付近で、ひとりの株主が叫び始めた。10分くらい、ギャーギャー言ってる。開始まで、時間があったので、その前に、タバコでも吸っとくかって、屋外特設テントへ向かう途中、そのギャーギャー総会屋を横目で見ながら、彼の横を通過してテントへと向かった。今日の東京は、小雨が降り注ぐ天気のなか、なぜか、ハワイでしか売ってない様な麦藁帽子を被り、ちょっと、茶色掛かったメガネをされている、とてもお洒落な方でした。そこで、ビックリ鼻血なのが、テントでタバコ吸ってたら、そのお洒落な麦藁帽子さんが、お友達(部下)らしき3人を連れて、テント来ました。6畳もない狭いテントに、僕含め、5人ね。もう、興奮で耳はダンボなんだけど、ビックリしたよね。タバコの煙吐くの忘れて、飲み込んじゃったもんね。会話の内容は、「数年前の・・・会社の総会では・・・・。ヤボな質問する株主が居て、A課長が、目で訴えるわけよ。どうにかしてぇ~って、だから、野次ったら、そいつ、・・・組の若僧で、俺の子分に、ちょっと行かせて・・・・」。。。みたいな会話。いつの時代になっても、彼らは、存在し続けるんだろうな。だって、彼らにとって、株主総会は、まさに、暴走族が七夕、元旦が、最大イベントの様に、彼ら自身が、自らの存在を実感できる場面だからね。まぁ、いろいろな人が、いますね。
2)質疑応答について
全体の総会は、2時間半で終了した。シャンシャン総会とまでは、行く訳もなく、議長(益子社長)により、30分ほどの前年度業務報告の後は、質問タイムとなった。要するに、2時間の質疑応答ですが、これって、下手な映画よりも、断然、面白く、勉強になる。まぁ、映画料金の100倍のお金を預けれいるから、面白くなくっちゃ全然、駄目なんだけど、最高のエンターテイメントであると感じた。当然、復配当時期、適正株価に関する内容は、突っ込まれるわけで、対応するCFOが、コメントする毎に、「もっと、明るくしゃべれ!」、「認識が甘すぎるんだよ!」、「だから、駄目なんだよ!」なんてのが、絶妙なタイミングで飛び交う。まさに、プロレス観戦をしているようでもある。まぁ、これは、表面的なエンターテイメントであって、僕が、真に楽しく思えたのは、会社経営者と株主(投資家)との緊張した関係、シビア感、また、激しい質問に回答する重役達の姿勢、その内容は、一種の頭脳合戦でもある。うまく表現できないのが残念だけど、王貞治が、日本刀でちり紙を切る瞬間に似た一種の緊張感が、そこには、あった。当然、壇上に構える議長はじめ重役達は、水を一滴も飲まないのは当然として、受け答えの内容、しぐさ、口調に知性をも感じた。将来、DirectorやCEOになりたいと思っている人は、出来るだけ早い時期に、株主総会の雰囲気を経験することをお勧めします。下手なExecutiveだったら、総会は、収拾つかなくなって、本当に、株主に泣かされる(苛められて)結果になるね。僕の今回のスタンスとしては、物言う株主ってサイドではなく、自分がCEOだったら、どう対応するかって視点で2時間半過ごしたんだけど、正直、今の自分だったら、この総会は仕切れないって痛感した。きっと、涙しながら、「すみません。もう、この辺で、宜しいでしょうか? 一生懸命頑張りますので!」なんて言って、収めるしかないよ。とても勉強になる。
3)M菱財閥の底力について
この底力については、相当、関心がある。当然、財政面の底力、グループとしての意地(プライド)、日本を代表するエリート(知能集団)の実力、楽しそうなキーワードが並ぶよね。M菱財閥は、一種の典型的な日本社会のSmall縮尺版だと思っている。高学歴エリート集団、官僚的、グループでの親密関係(コネ)なんてのをどう打ち破るかって、興味がある。ある意味、Nissanよりも、超日本的だから、注目に値する。人間、そう簡単に、変われないのです。長い年月を掛けて形成された個性、社風は、変えられないのです。難しいのです。自分で自分の非を認め、敢えて、自分を苦しめ、精進する事って、分かっていても、難しいんです。恐怖があるから、自分の安全を確保しようとも人間だから思うだろうし。でも、しかし、However、変わらないといかんのですよ!(自分にも言い聞かせてますが)。今日の質疑応答でも、「日本一のグループネットワークを持ちながら、それを生かしきれていない!なに、やってんだ!」ってゲキも飛んでいた。Nissanに比較してみても、資産売却リストラの内容、工場閉鎖のドラスティックさ、系列打破の勢い、タブー撲滅の非日本的発想と、M社は、一歩、劣るのが正直なところ。っが、しかし、今のM社重役達は、すべてグループ会社(重工、商事、銀行)からのメンバーで占められている。さて、日本のエリートは、自ら、自分を変えられるか、今後もウォッチしていきたい。楽しみだね。実は、M社復活には、エリート(同グループ)よりも、素人(90年代初めのIBM復活の際、異業種のナビスコ食品のCEOがマンモスIBMを復活させた)の方が、適任なのかもしれないし、さて、どうなるかね?
まぁ、長くなったけど、今日は、刺激ある、いい経験をする事ができた。株価も低いし、配当もしばらく無いし、銀行に預けてた他が、よっぼど利息付くけど、自分への投資と考えたときに、十分、リターンとして感じられるだけの経験を得る事ができた。今日は、刺激的でHappyな日だった。